近年、サッカー界で導入が進んできたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)に対し、選手や関係者からの批判の声が強まっている。その流れの中で、元ベルギー代表のエデン・アザールと、元イングランド代表のウェイン・ルーニーも否定的な見解を示した。
アザールは、RTBFによるとインタビューで「VARをなくしたい。好きじゃないし、うんざりする」と語り、「VARはサッカーから多くのものを奪ってしまう。特に感情の部分だ」と強調。ゴール後に判定を待つ時間が発生することで、純粋な喜びやスタジアムの熱狂が削がれていると指摘した。
一方、ルーニーもBBCによると「本当に嫌いだ。ゴールセレブレーションからすべての感情を奪ってしまった」と同様の不満を吐露。さらに、判定の一貫性にも疑問を呈し、「鼻の先ほどの差でオフサイドになるようなばかげた判定もある」と、ミリ単位の判定が増えている現状に苦言を呈した。
VARは誤審を減らし、公平性を高める目的で導入されたが、近年ではその運用を巡る議論が絶えない。判定に時間がかかることによる試合のテンポ低下、観客や選手の感情の分断、さらには判定基準の曖昧さや一貫性の欠如などが問題視されている。
特にオフサイド判定では、わずかな体の一部の差でゴールが取り消されるケースが増え、「これが本当にサッカーなのか」という疑問の声も少なくない。また、VARの介入範囲が広がることで、主審の裁量や試合の流れが損なわれているという指摘もある。
こうした背景から、VARの完全撤廃を求める意見こそ少数派ではあるものの、「より限定的な運用にすべき」「明白な誤審のみに介入すべき」といった改善を求める声は確実に広がっている。
アザールとルーニーの発言は、その象徴とも言えるものだ。テクノロジーによって“正確さ”は向上したが、その代償として“サッカーの喜び”や“感情の爆発”が失われつつあるのではないか。
VARの存在意義が改めて問われる中、サッカーが本来持つ魅力とのバランスをどのように保っていくのか。今後の議論と運用の改善が注目される。
象徴的なのが、2025年FAカップのボーンマス対ウルブスでの出来事だ。この試合ではVARのチェックに約8分を要し、プレーが完全に止まる異例の展開となった。観客からは不満の声も上がり、“サッカーのテンポ”や“感情の連続性”が損なわれているという批判が強まる一因となった。
バルセロナ対アトレティコ・マドリードの一戦でも、ゴール判定を巡るVARチェックに約8分を要し、大きな批判を呼んだ。


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